外構、ダスト室を全面改修 管理組合の計画修繕はいまだ途上

北砂四丁目住宅は「住宅供給公社所有権留保付き長期分譲住宅(所有権留保付きマンション)」として1972年に建設された。
所有権留保付きマンションとは、マンションの購入者が購入資金を住宅金融公庫(当時)に借り入れ、その借入全額の返済が完了する(35年または50年)まで、住戸と敷地の所有権は住宅供給公社に留保されるという住宅の供給方法(昭和40年代、全国の主要都市で展開され、昭和49年に事業終了)。
このため、返済が完了するまではマンションの共用部分の持分も住宅供給公社にあり、北砂四丁目住宅の場合、共用部分の維持管理の主体は東京都住宅供給公社だった。
こうした所有権留保付きマンションの課題点は、築35年たってはじめて所有権を得て管理組合を設立し、これまで住宅供給公社にお任せだった管理を開始しなければいけないこと。35年たっていれば、居住者の多くが高齢者である。
今回工事を担当した㈱アール・エヌ・ゴトーの現場代理人も「年配の居住者が多く、特に1人住まいのお年寄りが多いため、住民対応には何度も、根気よく説明を行いお客様のお部屋に伺っての説明を心がけました」と話す。
また、長年公社の所有物であったため、一般の分譲マンションと比較すると計画修繕が手厚く行われてこなかった感は否めない。
そこで「下地補修工事には非常に手間をかけ、また美しく仕上げるために柱型や壁面の脆弱な既存塗膜はすべて剥離しました」と現場代理人。

これまで合意形成の経験がなかった居住者が改めて区分所有者となり、管理組合として適正な管理をしなければいけなくなった。管理会社や改修専門業者など、建物を維持管理していく上で第三者の支援、アドバイスが貴重なマンションといえる。

工事データ

○工事名/北砂四丁目住宅平成26年度改修工事 
○建物概要/ 1972(昭和47)年竣工・SRC造地上14階建・526戸 
○発注者/北砂四丁目住宅管理組合 
○主な工事内容
・ 共通仮設/現場事務所、作業員休憩所、資材・廃材置き場の設置等
・ 外構改修/駐車場・車路・外周のアスファルト舗装打ち替え、排水設備、植栽移植等
・ ダスト室改修/ダスト室の天井・壁・床補修、サッシ交換、給排水設備、照明交換等
○工事期間/ 2014年11月10日~ 2015年3月30日