表面的には古くなったなあと思っても、故障で頻繁に停まる、かごが下がって段差ができるなどといった極端な不具合はあまり起こらない。だから、何かと後回しにされるエレベーターの改修だが、その心臓部である制御装置やモーターなどを覗いてみると、あまりの旧式さに「びっくり!」なんていうことも。
技術革新の進歩によって、25 ~ 30年前の製品では、交換部品すらないケースもある。エレベーター全般の法定耐用年数は17年だ。
写真のマンションでも、故障したから改修したというのではなく、築25年目に設定していた長期修繕計画通りに工事を行っただけという。全面的な交換をする必要もなかったため、古くなったモーターと制御盤の交換をメーンに、
緊急対応やバリアフリー対策を加味。きれいになったかご室はもちろん、なめらかな昇降が乗り心地の良さ、マンションのグレードアップにつながった。改修をする資金を計画通りに貯めていたことがスムーズな改修工事の大きな要因だった。
まずは、動くことが当たり前と住民に思われているエレベーターの改修が、長期修繕計画や資金計画に盛り込まれているかの確認である。
工事データ
マンション概要 築25年・60戸・6階建
○エレベーター仕様/9人乗り・60m /毎分・6停止 ○主な改修内容/制御盤、モーターの交換/操作盤の交換/かご天井交換/かご床タイル張り替え/かご室内インテリアフィルム貼り/かご室内の鏡・手すり・副操作盤の新設/かご室内の防犯カメラの新設/停電時の自動着床装置の新設/地震時の管制運転装置の新設 ○工事費用/約750万円 ○工期/約7日間(エレベーター停止期間は3日間)