事例で学ぶ給排水給湯設備 共用専有部同時施工の計画から完了まで

マリンハイツ住宅設備工事

 マリンハイツ住宅管理組合は平成19年9月から翌年4月まで大規模修繕工事を実施した。この時の修繕委員会(メンバーは8人)が解散することなく、引き続き設備改修工事の委員会として活動を開始。設備修繕履歴の調査から工事範囲の検討、工法や材料などの検討に入った。
 まず現況調査の結果、雑排水管は緊急を要し、給水・給湯管は2、3年後に工事を行ったほうがよいということが判明。このため修繕委員会では同時施工を計画し、これまでの加圧給水ポンプ方式から直結方式(増圧ポンプは設置猶予措置により設置免除)へのシステム変更も視野に入れて検討に入った。

●共用部分の更新


 工事のスケジュールは、「1期工事」として共通仮設、共用部分給水管更新、共用部分排水管更新(ピット内)、受水槽やポンプなど設備機器・基礎撤去工事を約3カ月で実施。 続いて「2期工事」として共用部分排水管更新
(メーターボックス内、専有部分内)、専有部分給水・給湯・排水管更新、建築付帯工事を、やはり3カ月かけて行った。
 水道本管の引き込み管から専有部分の配管まで、すべての配管材料を錆びないもの、地震に強いものを選択した。給水管は、共用部分の引き込みから各棟への埋設配管を耐震型高性能ポリエチレン管に、専有部分の給水・給湯管を架橋ポリエチレン管で配管。排水管は、共用部分はピット内も専有部分内も雑排水・汚水管ともに耐火VP管を使用した。

●専有部分の更新


 専有部分内に立ち入る工事は1系統5日間の工程で工事を計画した。
 住戸への立ち入り工事は住民の協力が不可避である。住民が施工中に感じる支障や障害(例えば断水、排水制限、防犯等)を修繕委員会や設計コンサルタント、工事会社とともに洗い出し、居住者への周知を徹底した。
 内装の解体や復旧はどの範囲か、立ち入り工事の工程はどのようなものかなどを図や表で作成。予想される障害に対してはQ&Aを用意して設計説明会を実施し、住民の協力を求めた。

工事データ

○工事名/マリンハイツ住宅設備工事 ○建物概要/ 1983年竣工・RC造・3~5階建て・9棟・162戸 ○発注者/マリンハイツ住宅管理組合  ○主な工事内容/共通仮設/共用部給水管更新/共用部排水管更新/専有部(給水管・給湯管・排水管)更新/建築付帯/設備機器・基礎撤去/その他○工事期間/ 2012年2月~8月