高架水層から直結給水へシステム変更 水槽・ポンプ撤去で点検維持費を削減

鶴見スカイハイツ給水設備改修工事

 共用部分に当たるメーターボックス内の配管の継ぎ目から、水が滴る住戸が複数あると理事会に報告があった。管を切断して調べてみると、管内はすでに1/3くらいが赤いサビこぶで覆われていた。サビが鉄管を溶かし、管と管の継ぎ目から水が漏れる原因を作っていたのだ。
 このときは2回目の大規模修繕工事を実施する前年。設備改修までとなると資金面の都合がつかない。「積立金が底をついたら困るし、借金はしたくない」。
 鶴見スカイハイツの給水システムはこれまで、水道局から配水される水を受水槽に貯め、それをポンプで屋上の高架水槽に上げてから、水が落下する重力で各戸の蛇口まで配水する方式(高架水槽方式)を取っていた。
 給水管工事が話題に上がったのは横浜市の条例改正後のこと。水道管から増圧ポンプを用いて直接各戸に水を供給できる建物の範囲を「10階建て程度」に拡大したのだ。
 スカイハイツの受水槽、高架水槽、ポンプはそれぞれ交換時期に来ていた。「水槽を変えずに済めば、工事費をグッと抑えることができる」。理事会は資金のめどが立つのを待った。
 工事が終わって…「これまで大型の揚水ポンプは振動音と揚水管に流れる水の音がすごく大きかったのに、最新の増圧ポンプはそれが全くなくなった。静かで気分がいい」。理事会メンバーから話を聞くと「増圧直結方式への変更は正解だった」という言葉が次々と飛び出す。
 ポンプの点検費が年間28万円から6万円へ。ポンプの電気代が1/10以下へ。水槽撤去で清掃費用年間30万円が0円へ。さらに水道本管から直結しているため、水質検査が必要なくなり、衛生的にもよくなった。また、受水槽とポン
プ室を撤去して空いたスペースは、駐車場にして7台分の収益が見込めるという。

工事データ

○工事名/鶴見スカイハイツ給水設備改修工事 ○建物概要/ 1978年竣工・5~7階建て・3棟・131戸 ○発注者/鶴見スカイハイツ管理組合  ○主な工事内容
/共用部分の給水管交換(塩ビライニング鋼管からステンレス管へ)/高架水槽方式から増圧直結方式へのシステム変更 ○工事費用/約3,200万円(戸当たり約25万円)○工事名/鶴見スカイハイツ給水設備改修工事 ○建物概
要/ 1978年竣工・5~7階建て・3棟・131戸 ○発注者/鶴見スカイハイツ管理組合 ○設計・監理者/㈲トム設備設計 ○施工者/㈱神奈川保健事業社 ○主な工事内容/共用部分の給水管交換(塩ビライニング鋼管からステン
レス管へ)/高架水槽方式から増圧直結方式へのシステム変更 ○工事費用/約3,200万円(戸当たり約25万円)