多数棟の難しさは品質統一 職長を集めて教育、同じ仕上がりを追求

前田ハイツ住宅大規模修繕工事

 「多数棟の難しさは品質をそろえることです」と話すのは㈱カシワバラ・コーポレーションの現場代理人・上原道夫氏。
 15棟ある前田ハイツ住宅は1977年、翌78年にわたり、3期に分かれて竣工している。時期が異なるだけでなく、担当したゼネコンも異なるため、作業方法や部材なども違うのだ。
 このため「原因が何かははっきりわからないが、錆が目立つ棟とそうでない棟、劣化が激しい棟とそうでない棟があるのです」と上原氏。
 こうしたことを踏まえて、改修工事で品質統一をするということはどういうことか。
 「棟が多いということで、改修工事でも協力会社が何班も入ります。だから職長を集めて教育することが大事です」
 たとえば第1号棟の現場での作業を見させて作業工程等を指示、仕上がりを確認させることで、同じ品質の工事を行うという。
 工事監理の検査でも多数棟の難しさが出た。雨などで工期が遅れたり、作業状況の進行具合によって複数棟の検査が重なることもあるのだ。設計・監理を務めた㈱建物保全センターの福市博臣社長は「設計コンサル選定の際、他社は1人体制だったが、うちは2人体制で見積もりを出した。そうでなければきちんとした検査ができなかったでしょう」と話す。安値競争では適切な監理もままならないという証明のようなエピソードだ。専有部分のオプション工事ではユニットバスやフローリングのほか、室内に手すりをつけるバリアフリー、エコポイントを利用して断熱性を高めるためのインナー窓を設置する住戸があった。
 カシワバラ・コーポレーションでは会社役員の現場パトロールが恒例となっているが、本工事には本社のある山口県岩国市から社長が来訪した。

工事データ

○工事名/前田ハイツ住宅大規模修繕工事 ○建物概要/1977 ~ 1978年竣工・RC造・5階建て・15棟+附属棟・440戸 ○発注者/前田ハイツ住宅管理組合  ○主な工事内容/共通仮設/架設足場/下地補修/洗浄/シーリング/防水/外壁等塗装/鉄部等塗装/サッシ戸車、網戸の交換等その他 ○工事期間/ 2012年2月~8月