CM方式による外構工事見学会 「30年見据えた環境づくり目指す」

横浜パークタウン団地第3次大規模修繕工事第Ⅱ期工事(外構工事)

2014年6月、第3次大規模修繕工事を終えた管理組合は同年12月、第3次大規模修繕工事第Ⅱ期工事として大規模な外構工事の実施に向けて検討をはじめた。すでに建物内の給排水管工事も実施済であるなど建物の修繕は定期的に行ってきたが、外構工事は横浜パークタウン団地でもはじめての試み。「高齢化社会を前提としながら、子育て世代にも優しい校内環境整備」をテーマに掲げ、「これからの30年を見据えたインフラ・環境づくり」を目指す。
今回の工事の最も大きな特徴は、CM(コンストラクション・マネジメント)方式を採用したプロジェクトであること。CM方式は欧米では標準的な施工体制であり、発注者から委任されたCMr(コンストラクション・マネジャー)が全体工事について、工期や予算、施工種別の分離発注等を含めた計画・管理を行う。
日本の大規模修繕工事は、設計・監理方式(設計コンサルタントが設計・工事監理を行う)、責任施工方式(施工会社が設計から施工までを行う)の2方式が一般的だ。いずれも施工は元請け会社に一括発注し、工事責任、工事保証を求めることになるが、今回は東急コミュニティーがCMrとして、管理組合が発注する4社のまとめ役になった。
 CM方式によるメリットは、発注者と専門工事業者が直接契約を結ぶことによってコストの透明性が図れること、専門工事業者の施工責任が増すことによって施工品質が向上すること。
こうしたCM方式を採用できるのも自主的な管理組合であるからこそで、熱心な管理組合で今後広がる可能性がある。
さて、実際の工事については来年7月までの工期のうち、着工から3カ月目であったが、NPO横浜マンション管理組合ネットワーク(浜管ネット)主催で4月16日、工事見学会が行われた。工事の本番はこれからだが、大規模な外構工事は前例が少ないため、関心の高い20人ほどの参加者によるCMrなど工事関係者への質問が相次いだ。
工事説明では修繕部位、工事工法、出来栄えを現状とCGによるイメージで資料として配布。車道や歩道などを色分けして陳腐化を防ぐ、スロープの傾斜を小さくして
手すりをつけるなど、CGで改修後の様子が理解できるよう工夫していた。
埋設排水管は地盤沈下による排水枡の陥没や勾配不良、木の根の侵入等が見受けられた。
改修は更生(ライニング)工法を採用。管内カメラ調査、高圧洗浄による根切り作業、クリーニング後、ライニングにて管内に樹脂膜を作り、配管を補強した。管交換と比べ、数億円もの工事費節約となったという。
目に見える修繕部位では舗装整備の色分け、インターロッキング化などによる環境改善の期待は大きい。約5万㎡の敷地での大規模外構工事。来年7月、生まれ変わった横浜パークタウン団地を見るのが楽しみである。

工事データ

○工事名/横浜パークタウン団地第3次大規模修繕工事第Ⅱ期工事(外構工事) ○建物概要/ 1976年10月~1980年4月竣工・複合型構造(RC造・PC造・壁式構造)・3~ 11階建・10棟・985戸 ○発注者/横浜パークタウ
ン団地管理組合 
○主な工事内容/・埋設排水管更生・歩道や車道、駐車場、広場の舗装・植栽(伐採・抜根・補植)・縁石、側溝の整備・擁壁補修・屋外照明灯の更新、防犯カメラシステムネットワークの導入、バリアフリー化(敷地内のスロープ、階段、各棟エントランス回りなど)、その他(既存構造物の撤去・新設)
○工事期間/ 2016年1月18日~ 2017年7月31日