屋上に漏水発生 確実な防水工事を目指す

ドラゴンヒルズ板橋中台壱番館大規模修繕工事

敷地に高低差があるマンション。こうしたケースでは足場の組み立てや解体作業の際にはほとんど小運搬となり、施工性で時間のロスが多かった。とはいえ、マンションの大規模修繕工事はすべてケースバイケース。立地・環境条件に配慮して施工計画をたてなければならない。
工事として特に心がけたのは、着工が昨年の8月20日からということもあり、近年の台風やスコールのような雨のため、雨がかり部分を先行したこと。天候を予想した工程は現場代理人の判断に頼った。現場代理人のセンス=会社の評価につながるところだ。
さらにバルコニー面を優先に作業を進めていき、居住者が洗濯物の制限を受ける期間を極力短縮できるように指示し、年内に足場が解体できるよう計画した。
管理組合や居住者の協力も含め、予定通り工事を進めることができたことは、管理組合、設計・監理者・施工者がそれぞれの立場で理解しあった結果だといえよう。

今回の工事で最も注力したのが防水工事。「漏水などがすでに発生しているので、確実な防水工事を行っていきたい」というのが工事計画のポイントだった。
特に屋上の露出アスファルト防水は漏水もしていたこともあり、アスファルト保護シートにひび割れ及び膨れ等が目立った状態だ。ルーフバルコニーは保護コンクリート表面の風化が全般的に見られ、パラペット部分のウレタンのひび割れも数多く見受けられた。

そこで下記の工法を採用した。
【屋上】アスファルト防水被せ1層張りトーチ工法
今回、既存がアスファルト露出防水のため、その上にトーチバーナーを使い、トーチ工法用アスファルト防水シートを直接焼き付けながら貼り付けて1層で仕上げる工法を採用した。
【ルーフバルコニー】ウレタン塗膜防水通気緩衝工法
ルーフバルコニーの既存仕様は保護コンクリート仕上げとなっているため、コンクリートからの湿気による防水層の膨れや、コンクリートの乾燥・収縮の影響等挙動による防水層の破断を防ぐため、通気緩衝シートを貼り付けてから、ウレタン防水を施工する工法。この仕様はマンションの主にルーフバルコニー等で採用される。

その他の工事では、共用廊下の天井照明をLED照明に変更。
以前は薄暗い感じだったが、非常に明るくなり、建物の高級感がアップし、居住者に大変喜ばれている。
管理組合には建築に詳しい区分所有者が多く、いろいろ積極的な質問、要望等を寄せてもらった。
施工者である三和建装現場代理人と営業担当者によると「そのおかげで活発に意見交換ができ、充実した定例打合せをすることができた」「居住者の皆様は協力的な方が多く、スムーズに工事をすることができました」と話している。

工事データ

○建物概要/ 1999年(平成11年)5月竣工・RC造・1棟・10階建て・57戸 ○工事名/ドラゴンヒルズ板橋中台壱番館大規模修繕工事 ○発注者/ドラゴンヒルズ板橋中台壱番館管理組合 ○主な工事内容/仮設工事/下地補修工事/塗装工事/鉄部塗装工事/防水工事/シーリング工事/内装工事/その他附帯工事 ○工期/平成25年8月下旬~平成26年1月下旬(5カ月)