1階床下埋設排水管の撤去、更新で 苦慮の末選んだ「掘削工法」

KRマンション給・排水設備改修工事

施工前の状

建物の外側から地面を掘っている

流動化処理土で穴を埋めた
施工後の状態

今回のテーマは1階の排水立て管が床下に埋まっているマンションでの改修工事の事例。
1階床下の地中に埋設してある配管類の取り替えは、1階住戸の床を全部はがして何日もそこで作業を行う必要があるため、1階住民の負担は計り知れない。これまでの工法では、工事期間中は仮住まいしてもらって、無人の中で施工するのが一般的。一定期間だとしても、生活習慣の変化、家具の移動、通勤・通学など、1階住民の精神的負担は避けられなかった。
そこで、マンションの建物の外側から床下の土砂を掘り起こし、1階床下に作業スペースを確保してから、古い排水管を撤去し、同じ位置に排水管を取り替える「掘削工法」を施工会社の建装工業㈱が提案、管理組合が選択した。
掘削工法は、工事中に1階住戸内の立ち入り作業を行う必要がない。1階住民の生活への影響が少ないことが大きな選択理由となった。

施工は、住戸の内側からの工事ではなく、建物の外側から、パワーシャベルを使って1階床下の土を掘り出していく。
土の中には、建物の地中梁(はり)があるので、この梁をかいくぐって、人間が作業できるスペースを作っていくのである。
梁の下に人間が這って進めるだけの穴を掘り、梁の奥は人力で掘ってベルトコンベアーを使って外部へ搬出する。
1階床下に作業用スペースを掘削した後は、白い既存排水管を撤去。同じ位置に新規排水管を設置する。
この方法で行えば、居住しながら工事を行うことができるため、1階住民は仮住まいや家具の移動などがなくなり、精神的負担を大きく軽減させることができるのだ。
新旧の排水管の取替え後は、掘り出した空間を埋め戻す。ふつうの土砂では梁の向こうの作業スペースまで送ることができず、埋め戻しは不可能。そこで「流動化処理土」を使って埋めることになる。
流動化処理土は、砂とコンクリートの中間のような材料で、現場の状況に合わせて強度を調整できるため、どのような現場にも対応ができ、地中梁の奥の奥まで流し込むことも可能。流動化処理土を流し込んだ後は、掘り出した土砂の一部を戻し、転圧機で締め固め、最後はコンクリート打ちによって、平素の状態に戻し、原状復帰して終了となる。

このように掘削工法は、建物外部からの施工のため、住戸内の床の開口工事が不要となり、居住しながらの工事が可能である。
また、既存の建物躯体で、床スラブ、地中梁等に開口することなく施工が可能なため、1階の床下の躯体強度さえ確保できれば、作業スペースを埋めないで将来の点検口とすることも可能だ。
これまでの工法では、一部住民(1階住戸)に負担がかり、
工事の実施が困難なものとなっているケースが少なくない。 1階床下の排水管改修工事は、掘削工法が解決法のひとつなるといえるのではないだろうか。

施工前の掘削個所は配管経路のある
屋外駐車場

コンクリートを砕き掘削を開始

パワーシャベルで土を掻き出す

土を掻き出している作業員の様子

土を掻き出している作業員の様子

1階床下への進入口。掘削はなる
べく少なく…

1階床下の劣化した排水管。これを
取り替えるためにもぐりこんだ

掘り出した空間を埋め戻す流動化処理
土がタンクローリーによって運ばれる

流動化処理土を埋めている状況

施工後の様子。このあと駐車場の
ラインを引き直した

工事データ

○工事名/ KRマンション給・排水設備改修工事 ○建物概要/ 1974(昭和49)年8月竣工・RC造・1棟・6階建て・141戸 ○発注者/ KRマンション管理組合 ○掘削工法/1階の住戸内部に入室せず(共用排水立管接続・衛生器具接続時以外)床下土砂を掘削し、既設床下排水管を撤去の上、更新を行う工法のこと