一般的な修繕工事項目以外に 「住んでいて不便と感じるところ」の補修も

 P管理組合は施工中に他の管理組合向けに工事見学会を実施。近隣マンションへの情報提供を行った。
 工事内容は1回目ということもあり、外壁下地補修、屋上防水、鉄部等塗装など一般的な項目。それ以外の工事では、劣化のみではなく住民アンケートの集計から「住んでいて不便と感じるところ」の補修も行った。
 例としては、集会室へのインターホンの設置。これまでは管理室にだれもいなくて理事会等を行ったとき、エントランスでの対応ができなかった。
 他にもエントランスにスロープを設置、掲示板を既存より明るく住民が見やすいところへの移動などを行った。集会室のシューズボックスも更新。以前はシューズボックスがなく、新聞紙を広げて靴を置いていた。
 また、これまではエントランスにはオートロックがあるけれども、裏側からの侵入は警察も驚くほど容易なマンションだった。さらに、建物1階にある駐輪場は開放状態で盗難の被害は後を絶たず、通路は公園への近道として誰でも通り抜け自由であった。今回は駐輪場の増設などに伴い、高さ180cmのネットフェンスとアルミ扉を、建物を囲むように新設した。
 駐輪場も全て施錠の内側に配置したことで、「自転車をいちいち降りて門扉にかぎを入れて中に入らなければならない」「両手に荷物を持っているときは不便」などの苦情もあるが、これは工事前から住民には説明していたこと。
 「頭隠しておしり隠さず」のマンションは少なくない。防犯対策として何の機能しないオートロックであれば、それこそ不便で無用なものになっているといえるだろう。

工事データ

○工事名/ P改修工事 ○建物概要/ 1997(平成9)年2月竣工・RC造・1棟・地上7階建て・61戸 ○発注者/ P管理組合 ○主な工事内容/共通仮設(現場事務所、資材倉庫、廃材仮置場の設置等)/直接仮設(建物外周足場・メッシュシート養生等)/下地処理(外壁・天井等の鉄筋爆裂、ひび割れ、モルタル浮きの補修等)/シーリング/防水修繕/外壁塗装/鉄部塗装/その他改善・改良