築10年のアフターサービス規準 瑕疵責任を踏まえた修繕計画がコンセプト!

グランイーグルwing橋本大規模修繕工事

 昨年7月~今年1月で1回目の大規模修繕工事を実施した。竣工年が2001年6月なので近年では早い工事の実施とみられるが、管理組合にとってはそれなりの事情があった。
 エキスパンションのない1棟140戸、シーリング材の異常な劣化、最上階の廊下部分の雨漏り…。
 過去に各戸で起こった不具合は管理組合としてではなく、区分所有者が対応していたため、個人では建設会社や分譲会社との交渉には限界があった。
 「比較的多くのひびが見られるのは、エキスパンションがないからではないか?各戸の不具合の対応が不十分ではないか?等、分譲会社に問題提起を行いましたが、聞く耳を持ってもらえなかった」と豊岡修繕委員長。
 そこでNPO相管ネットに相談したところ「10年以内だと施工の不具合として建設会社に瑕疵責任を問える可能性がある」「構造的な問題があるかどうかは別として、予防修繕こそがマンションが長持ちする秘訣」との助言があり、早
めに大規模修繕工事を実施したほうがよいだろうと判断した。
 築7年目にして有志を集め、理事会の諮問機関である修繕委員会を立ち上げた。
 安全に暮らせるマンションであることに加え、マンションの資産価値を上げるために何をすべきか、住民アンケートも行いながら検討を繰り返した。当初は2カ月に1回の集まりが会合のスパンも縮まり、大規模修繕工事の準備が
本格化するころには2週間に1回程度の会合を持つことになっていた。
 修繕工事の施工業者選定については、見積もり依頼は12社から。その中から有力な4社を絞ってヒアリングを行い、「地元」という信頼性に加え、金額的な面も考慮して地場の業者に決めた。
 金額面では「足場を自社で持っていることが見積金額に大きく反映されていた」と市川さん。雁行型マンションのため、実際の施工よりも足場が組みにくい難点がある。
 そこで足場の組み立てを優先に業者選定を行うことで、費用の軽減がかなったというわけだ。
 加えて修繕委員会が建物の外装や駐車場の車路面の色・模様等、住民の声を聞くことを心がける等、各種のグレードアップ工事の内容について、住民の納得度を高めるよう工夫した。
 建物のひびは伸縮クラックであることが確認でき的確な対策が打てたこと、修繕項目の一部は竣工時の工事不具合としてアフターサービス規準が適用され、経費の最適化につながったことは大きな成果であったようである。

長寿命の化粧路盤(ファンタジーマルチフロー)に変更

工事データ

○工事名/グランイーグルwing橋本大規模修繕工事 ○建物概要/2001(平成13)年竣工・SRC造・地上13階て地下1階・1棟・140戸+店舗1  ○主な工事内容/共通仮設/足場仮設/躯体下地補修/シーリング/外壁塗装/鉄部塗装/屋上防水補修/その他 ○工事期間/ 2011年7月~ 2012年1月