東京・西東京市/ヌーベルヴィラージュひばり管理組合

工事の進捗は人対人の信頼関係 いかに関心を持ってもらえるかが大事

ヌーベルヴィラージュひばり大規模修繕工事

 住居棟に囲まれた中庭には付属棟が存在する
 

丸みがかった構造で足場の設置が難しい

12,600㎡の広大な敷地の中央に中庭と附属棟が存在し、それを囲むように3棟の建物がコの字型に配置されるなど、ランドスケープデザインが施された瀟洒なマンション。1回目の大規模修繕工事は躯体の下地補修、共用廊下の外壁や天井等の塗装、シーリング、防水など一般的な工事の他、敷地内の敷石洗浄などをメインに行った。
どこの現場代理人でもマンション大規模修繕工事で一番気を遣うところは、「新築工事と違い、限られたスペースと建物ごとに違う仕上がり状況、居住者の生活環境に支障が起きないような作業などを事前に検討して計画を立て、その期間がないときでも着工と同時に考えて臨機応変に工事を進めなければならなりません」という。
今回は建物の周囲に2重のセキュリティと柵・壁があり、足場材の搬出入には念入りな計画が必要だったという。また「各棟に吹抜けが32カ所あり、足場の作業工程に大きく影響が出ました」とも。
住居空間や造園スペースが特殊な形状の建物は、仮設工事計画に他の倍以上の知恵や経験が必要となる。
さらに部屋のタイプによっては、1住戸に南側と北側両方にバルコニーがあり、仕上げ工程が倍になるケースもあった。
このため、現場代理人に工程通り作業を進める上で重要視していることはと聞くと「理事会や修繕委員会、住民の皆さんとの人対人の関係です」ときっぱり。「工事に対する信頼関係をいかに築いて最後まで保ち、喜んでいただけるか。そこに一番配慮しました」。
管理組合側は理事会が任期により工事計画途中で交代。施工会社を決定時と、実際の施工時で理事が変わってしまったため、施工中の理事会時の報告は、資料に写真や図面を入れるなど「わかりやすい資料になるよう心がけた」という。
足場がある程度設置された後には「お子様向けの工事説明会」も実施。イベント感覚で危険個所を説明、実際に現地を回って工事個所などをみてもらった。
玄関扉塗装工事では、玄関扉を開けての作業のため、塗装職人と居住者が作業についてのやり取りをするため、できる限り“営業向き”な職人を配置し、居住者が工事に対して関心を持ってもらえるようにした。
「なぜ工事するのか」「どんな工事を行うのか」―子どもや工事をリードした理事会や修繕委員会だけでなく、大規模修繕工事は常に一般居住者の大人たちに関心を持ってもらえるように工事を進めることが理想である。

(大規模修繕工事新聞89号)

粉じんを吸引しながら鉄部をケレン

下地補修工事は電動ドリル等による騒音・振動・ホコリが発生する

飛散防止の養生を徹底し、塗装ムラがないようローラーで作業する

敷地内の敷石を高圧水にて洗浄

工事データ
工事名/ヌーベルヴィラージュひばり大規模修繕工事 ○建物概要/2003(平成15)年竣工・SRC造一部RC造・地上15階・3棟(その他管理棟など)・316戸 

発注者/ヌーベルヴィラージュひばり管理組合 
○主な工事内容
・共通仮設/仮設事務所・作業員休憩所・植栽棚・仮設手洗い場・トイレ・資材倉庫・廃材置場等の設置
・直接仮設/足場設置・解体、1階の一部にセンサーライト付き防犯カメラを設置
・下地補修/外壁等の調査(目視・打診調査)、清掃及び既存脆弱塗膜除去、ひびわれ補修、 鉄筋爆裂補修、タイルひび割れ・欠損・浮き補修、タイル目地脆弱部補修、 外壁高圧水洗浄他
・シーリング/外壁・手摺壁の内側・共用廊下等の天井目地、バルコニー内の窓廻り、1階通路他
・外壁他塗装/廊下壁、梁、中央壁、内部・外部階段壁、バルコニー天井、外部階段天井他
・鉄部塗装/玄関扉枠、MB扉、竪樋、ドレイン、隔て板等
・防水/・各棟の屋上や屋根…平場や笠木、排水溝のウレタン塗膜防水
・ルーフバルコニー…平場の洗浄、既存シート撤去、下地調整
・バルコニー…床の既存シート撤去、新規シート貼り
・廊下、階段…排水溝のウレタン塗膜防水
・シーリング/打継目地、避難口まわり、エキスパンジョイント根本、外部アルミ建具まわり等


工事期間/2015年8月18日~2016年4月20日