よこすか海辺ニュータウンザ・タワーハウス大規模修繕工事
2014年4月の消費税8%への値上げに伴い、「税金が5%のうちに契約を済ませよう」と13年9月に工事契約を締結。一般的に大規模修繕工事は「12 ~ 15年」といわれていることを念頭に置いた上で、ザ・タワーハウス管理組合は築11年目での工事実施を選択した。
元理事長で、現在は顧問を務める前川誠さんは「工事総額が3億円だったので、浮いた消費税アップ(3%)分の約900万円を次の工事資金として残すことができました」と組合が工事を前倒しした決断を説明する。
一方、工事計画の立ち上げは早く、最重要視と位置づけたコンサルタント選びに1年間を費やした。「コンサルタントの良し悪しが工事の成功のカギを握っているといっても過言ではないと考えた」と前川さん。長期修繕委員会で独自にコンサルタント選定チェックリストを考案し、委員会メンバー8人による「無記名投票方式」で最終候補2社から選定した。
コンサルタントに決まった㈱英綜合企画設計は、調査診断から修繕項目、部位数量を積算してもらい、6カ月かけて70ページにわたる「工事仕様書」を作成した。
仕様書作りで心がけたところは、「まだ築11年なので、きれいにすることを第一の目的とせず、必要な不具合個所の修繕を最重視したこと」だという。「前倒しの工事なので、2回目の大規模修繕工事にオカネをできるだけ残すように考えた。その結果、修繕積立金は値上げせずに次の工事を迎えられる。これも管理組合役員がマンションの運営コスト削減に日夜努力している賜物です」。
この仕様書や内訳数量書をもとに、工事会社7社に見積もりを依頼した。同じ土俵の上で工事金額を比較検討できるようにしたのだが、まったく同じ工事内容でも金額の「低い会社と高い会社」で1億円もの差がでたという。
こうして工事会社選定も長期修繕委員会で慎重に検討し、約4カ月をかけて建装工業㈱に決まった。
工事中に苦労した点は、工事が4店舗の営業妨害とならないようにすること。足場設置のために店舗の来客用駐車場を移動したが、鍼灸院などへは車椅子で通院する人もあり、仮駐車場の配置などにも細かく配慮した。
前川さんは初めての大規模工事を振り返り、「管理組合では次の大規模修繕工事のときも今回のコンサルタント、工事会社を最有力候補にしたいと思うほど、良質で安価でできた工事の成功は両者のおかげだと感謝している」という。
さらに工事の検討から完了まで3年もの間活動してきた長期修繕委員会のメンバーの努力にも「頭が下がる思い」と感謝の言葉を述べていた。、
工事データ
○工事名/よこすか海辺ニュータウンザ・タワーハウス大規模修繕工事 ○建物概要/ 2003年(平成15年)竣工・SRC造地上20階建て・3 棟・318戸( + 店舗4 戸) ○発注者/よこすか海辺ニュータウン ゲートスクエアザ・タワーハウス管理組合
○主な工事内容/
・共通仮設/現場事務所、資材置き場等
・直接仮設/作業足場、ロングスパンエレベーター
・ 躯体下地補修/躯体(建物)の不具合個所や外壁の塗装面・タイル面の補修
・ シーリング/外壁目地、アルミサッシ回りの目地等、防水材の新規打ち替え
・外壁等塗装/躯体(建物)の保護、美観の向上
・鉄部塗装/鉄部の耐久性、美観の向上
・屋上防水/屋上の漏水防止、居住性向上
・ バルコニー・開放廊下防水/バルコニー・開放廊下の側溝のウレタン防水、塩ビシートの不具合個所の補修
・ 外部階段防水/外部階段の側溝のウレタン防水および防滑性ビニル床シートへの張替え
・ 建築雑工事/換気ガラリ清掃、隔て板欠損個所交換、雨樋不具合個所交換等
○工事期間/ 2014年1月6日~8月15日