コンサルタントと年間顧問契約を締結、長期的スパンで考えられるメリットあり
築36年目にして3回目の大規模修繕工事を実施中。理 事会の諮問機関である専門員会「長期修繕計画等建設関 連検討部会」が中心となり、建物維持管理や計画的な修 繕工事を行ってきた。 2012年には共用部分・専有部分の給水・給湯・排水管 の一斉更新工事が完了。給水システムも高架水槽方式か ら直結増圧方式に変更した。この際、高架水槽は撤去し たが、受水槽は防火水槽の役割として残している。 越谷ファミリータウンが特殊なのは、敷地内に調整池 があること。集中豪雨などの際、河川に入る前に一時的 に雨水を溜める池で、日頃は子どもの遊び場、テニスコー ト、公園として住民の憩いの場となっている。 工事を行う際、この調整池の上に現場事務所、作業員 詰所、資材置場、植栽の仮置き場等を設置するのだが、 雨が降ると雨水が溜まるため、棟上げをしなければならない。 とはいえ、3回の大規模修繕工事や設備改修など、大 きな工事の経験から、「住民のみなさんは工事中どうすれ ばよいか知っている人が多く、協力的です」と施工を請 け負ったシンヨー㈱の現場代理人。住民の高齢化が進み、 半数くらいが日中在宅している住戸だというが、工事中 の安全面も問題はないという。 工事監理は約15年の間、コンサルタントとして年間の 顧問契約を結んでいる㈱建物保全センター。年間契約で 建物(ハード面)だけでなく、管理運営(ソフト面)に ついても相談等をする関係である。 同社の工事監理は、週2回の終日監理が特徴。朝9時 から日報の点検と現場確認、その結果を踏まえた打ち合 わせの後、再度現場の品質管理を確認し、指摘事項や指示を行う。 また毎週2回は専門委員 とともに建物を回り、工程 検査を実施。月1回の総合 定例報告会で打ち合わせも 行っている。専門委員はゼ ネコンの建築士などで、専 門家としての意見や指摘が あるという。
㈱建物保全センターの福市博臣社長は「長年のお付き 合いで管理組合役員や専門委員とのコミュニケーション がとりやすく、工事契約から実施までスムーズに行うこ とができる」と話す。
「顧問契約は長期的なスパンで管理組合のことを考える ことができるメリットがある。ただそのためには日頃か らの信頼関係が大切なんです」(福市社長)
(大規模修繕工事新聞113号)
2018年9月2日、管理組合、設計 者、施工者が集い、近隣の神社で 安全祈願祭を行った
2017年に行った屋上防水の施工 前、ドローンで撮影した航空写真
敷地内にある調整池の上に現場事 務所、作業員詰所等を設置
雨が降ると雨水が溜まるため、仮 設事務所は棟上げした
植栽の仮置き場も調整池に設置
駐輪場の天井に断熱材設置を施工 している様子
エレベーターフロアに設置して いる防風パネル(外観)
防風パネルを更新中
施工後の防風パネル(フロア側から)
設計・監理者:株式会社 建物保全センター
■本社
〒221−0835 横浜市神奈川区鶴屋町3−35−11 ストーク横浜二番館504
☎045−324−6152
代表者:福市博臣
創業:1986年(昭和61年)
資本金:1,000万円
//www.k-tateho.jp
施工者:シンヨー 株式会社
■本社
〒210−0858 神奈川県川崎市川崎区大川町8番6号
☎044−366−4795(第二リニューアル部)
代表者:中尾祐輔
創業:1930年(昭和5年)
資本金:5億円
//www.sinyo.com
工事データ
○工事名/越谷ファミリータウン大規模修繕工事
○建 物概要/ 1982 ~ 83(昭和57 ~ 58)年竣工・SRC造・ 地上7、8階建て・4棟・685戸+7店舗
○発注者/ 越谷ファミリータウン管理組合 ○設計・監理者/㈱建 物保全センター
○施工者/シンヨー㈱
○主な工事内容
1. 共通仮設/仮設トイレ・廃材仮置き場、資材倉庫の 設置
2.直接仮設/鋼製足場・落下防止鋼製朝顔の設置
3. 防水/バルコニー床防水、廊下一部防水、階段踊り 場
4. 躯体補修/モルタルクラック、欠損、爆裂、浮き・ 脆弱部塗膜剥離補修
5. 外壁等塗装/外壁塗装・バルコニー天井塗装、廊下 天井塗装
6. シーリング/外壁打継・バルコニー、廊下天井目地・ 手摺根元回り
7. 鉄部等塗装/鉄骨階段、手摺、雨樋、玄関扉枠、メー ターボックス扉、隔て板、防火扉、手摺パネル
8. 建築関連工事/面格子脱着(廊下・妻側)、換気ガ ラリクリーニング、各所クリーニングなど
○工期/ 2018年8月~ 2019年7月(予定)