名古屋市千種区/パラシオン覚王山管理組合

築30年目に管理組合を立ち上げ 借入恐れず、マンション価値アップへ

パラシオン覚王山大規模修繕工事 

4月23日、日本マンション学会は椙山女学園大学でのシンポジウム、分科会報告の後、名古屋市千種区のパラシオン覚王山、メゾン千種で見学会を行った。
覚王山は住宅地として人気が高い地区で、ここで紹介するパラシオン覚王山は地下鉄覚王山駅徒歩1分に立地する。
好立地とはいえ、25年以上前のパラシオン覚王山は管理組合もなく、業者の倒産により、修繕工事が中断されたままコンクリートの破片が落下するなど、不動産業者からは最低ランクの評価を受けていたという。
その後2回目の修繕工事を前に管理組合(築30年目)を立ち上げ、中部マンション管理組合協議会(中部管協)の協力を得て、長期修繕計画を作成。公的借り入れを利用し、本格的な大規模修繕工事に着手した。

 3回目の工事は中部管協とともの管理組合をサポートしている建築家集団「マンション維持管理機構」にコンサルを依頼し、宅配ボックス設置、電気容量アップ(30A→60A)、照明LED化、エントランスへの大理石張りなど、マンションの価値を上げることを目的に工事を行った。
 見学会で説明にあたった中村明理事長は「計画的な工事を行ってきたことにより、不動産業者の評価は20年前の600万円から今や1,300万円に上がりました」と喜ぶ。
 さらに、工事費用の考え方についても、「借り入れを不安に思い、修繕工事を行わないことにより、老朽化して買い手や借り手がなくなることのほうが心配。借り入れをしてでもマンション価値をアップする工事をしたからこそ、今では子供のいる若い世帯も増え、住戸が売りに出れば賃貸の住民が即買う例も出ている」と話していた。

(大規模修繕工事新聞90号)

日本マンション学会のメンバーが見学。中央が中村明理事長

エントランスまわりのファサード壁の石張り改修

共用階段、共用廊下の防水シートを張り替えた

 アルミサッシ取り替え(カバー工法)

パイプスペース(PS)扉取り替え

2008年、各戸玄関扉の取り替え工事を実施

2012年、エントランスセキュリティーのため自動ドアを設置

2014年には幹線容量をアップ、照明をLED化した

工事データ
○工事名/パラシオン覚王山大規模修繕工事
○建物概要/1971(昭和46)年竣工・SRC造・地上11階建・1棟・70戸
○発注者/パラシオン覚王山管理組合 
○主な工事内容
・共通仮設/管理事務所、倉庫・備品の搬入等
・直接仮設/鋼製足場、養生シート、昇降階段、落下防止ネット、出入り口養生、仮囲い
・下地補修/高圧水洗浄、コンクリート欠損部、ひび割れ(擦り込み、Uカットシーリング材充填)、モルタル浮き部、誘発目地新設、補修個所パターン調整
・外壁塗装/一般外壁、バルコニー・各所天井、PSパネル壁、竪樋
・鉄部その他塗装/鉄骨階段、階段手すり、玄関扉枠、PS扉等
・防水/高架水槽屋根、バルコニー、共用廊下、共用階段
・その他/アルミサッシ取り替え(カバー工法)、エレベーター扉のダイノックフィルム貼り、外壁耐震スリット新設、コミュニティースペース改修等
○工事期間/2015年8月17日~2015年12月26日