神奈川・川﨑市/鷺沼ライラック管理組合

築42年、3回目の大規模修繕工事、コロナ禍でもコミュニケーションしっかり

 築42年、第2回大規模修繕工事から17年目、コロナ禍で計画・検討が難しい中で3回目を実施した。
 中心となるのは2010年に発足した大規模修繕工事委員会。委員長の矢野泰弘さんは「コロナ禍でも住民間のコミュニケーションはしっかりやりました」と話す。
 理事会や委員会の議事録の掲示、全戸配布を実施。意見、投稿、要望はできるかぎり聞いたという。取り組んでいることなどは随時、ポスターにまとめ、集会所に掲示。CGによる外壁塗料色案、手すり補修の履歴から交換と修繕の比較など、住民がいつでも見ることができるように整えた。劣化状況のデータや工事仕様、その根拠なども示した。
 工事説明会は希望者による最少人数で実施したほか、その様子を動画配信(インターネット視聴)、DVD媒体として自宅でも見れるようにした。
 「住民からの質問や意見に対してはできる、できない、その理由にすべて応えました」。コロナ禍であるがために、より合意形成に配慮したという。
 現場代理人は「委員会の人たちには現場調査から立ち会ってもらい、積極的にコミュニケーションをとっていただきました。工事が始まってからも、顔を合わせればすぐ打ち合わせができ、とても工事が進めやすい」と施工環境の良さをあげている。
 工事周期が前回から17年と延びたのは、漏水の増加で給水設備改修と重ったことによる。セミナーや勉強会で情報を得ながら、「耐震診断」基準の適合取得、直結直圧給水方式へのシステム変更、管理規約を改正して共用・専有部分の給排水管一斉更新を先に取り組んだ。
 今工事では、大規模修繕工事に加え、ベランダ手すりの更新工事も実施した。手すり交換は単独でやると足場代がかかるため、大規模修繕と同時施工とするケースが多い。支柱の根元などで錆が激しく、補修が必要な住戸が半数以上だったことから、スチール製からアルミ製の手すりへの更新に踏み切った。数年後のサッシ交換も視野に入れ、工事仕様やサンプルの検討もすでに行った。
 矢野委員長は「これからはメンテナンスだけでなく資産価値を優先したい。省エネ、防犯、バリアフリー、マンション管理計画認定制度を意識して次世代に引き継ぐことを考えていくべきだと感じています」と話している。
 

(大規模修繕工事新聞 第153号)