「スラブ上将来接続口」を設置 、段階的に全戸スラブ上配管化を目指す
工事データ
工事データ ○建物概要/ 1982年(昭和57年)8月竣工・RC造(一 部PC造)・47棟・548戸(中層棟:5階建て・15棟・ 400戸+低層棟:2階建て・32棟・148戸) ○工事名/ かわつる三芳野団地中層棟給排水設備改修工事(工事対 象は中層棟400戸) ○発注者/かわつる三芳野団地管 理組合法人 ○設計・監理者/㈲マンションライフパー トナーズ ○施工者/京浜管鉄工業㈱ ○主な工事内容 /共通仮設工事/共用給水管更新/1階床下排水管更新 工事/住戸内専有管更新/共用排水立て管更新/付帯建 築工事/オプション工事(ユニットバスリフォーム) ○工期/平成24年4月~ 12月
●設計・監理者:有限会社マンションライフパートナーズ 本社: 〒169−0074 東京都新宿区北新宿1−4−9 ☎03−3364−2457 代表者:柳下雅孝 設立:2003年(平成15年) 資本金:300万円 //www.mansion-r.com ●施工者:京浜管鉄工業株式会社 本社: 〒171−0031 東京都豊島区目白2−1−1 目白NTビル6F 設備・リフォーム事業部 ☎03−6871−9971(直通) 代表者:平松拓也 設立:1952年(昭和27年)12月 資本金:1億円 //www.keihin-se.com
MKSリフォーム賞受賞
かわつる三芳野団地中層棟給排水設備改修工事は、 一般社団法人マンション計画修繕施工協会(MKS) が創設した第4回マンション・クリエイティブリ フォーム賞を受賞した。 排水立て管更新に合わせてユニットバスリフォー ムを全体の47%の住戸で行い、その他の住戸に「ス ラブ上将来接続口」を設け、さらに「浴室リフォー ム細則」を定めて将来的に全戸スラブ上配管化を目 指していることが改修モデルのひとつとして評価さ れた。
今回の工事は47棟・548戸のうち、5階建ての中層15 棟・400戸の給排水管の更新工事がベースである。しかし、ここではオ プション工事と なった「ユニッ トバスリフォー ム」に焦点をあ てたい。
既存は在来浴 室のスラブ下配 管。上階の排水枝管が下階の天井内を通って共用立て管につながってい る。枝管は専有部分でなく共用部分として取り扱うこと が判例により一般化しているので、管理組合が主体となっ て改修工事に取り組むことになった。 スラブ下配管では、スラブ貫通部周辺からの漏水が多 くなるが、実際、原因個所はなかなか突き止められない。 この原因を突き止めるには浴室全体をリフォームするこ とが手っ取り早い。 しかし、各戸リフォームに任せておくとコンクリート 床に埋まっている排水金物まで改修しにくいため漏水の 原因個所はなくならず、また、各戸リフォームではスラ ブ下配管のままであることは変わらない。コンクリート に埋まった古い排水口はそのまま残され、漏水事故の危 険性はますます大きくなる事態を招くことになる。
こうしたことから、管理組合が全戸一斉リフォームに 導くことが理想的であるが、各戸の金銭的な問題やすで にリフォームしてしまったなどの理由で現実的ではない。 その突破口として管理組合は「段階的スラブ上化改修手 法」を選択した。今回は排水立て管の更新にあわせ、在 来浴室のユニットバスリフォームを同時オプション工事 として組み込むことで、一定数の浴室排水管のスラブ上 化を実現する。今回の工事を見合わす住戸に対しては、 将来リフォームする際に適切に排水管を接続することが できる「スラブ上将来接続口」を設けて対応することと なった。
結果的に今回の工事で47%の住戸で一気に排水管スラ ブ上化が完成した。残りの住戸については、将来リフォームを行う際にスラブ上化の具体的な施工マニュアル(浴 室リフォーム細則)を議決し、マニュアルに沿ったリ フォームかどうかを審査する体制を作った。 浴室のリフォーム時期を各戸にゆだねながらも、排水 管の適切な接続をマニュアルに盛り込み、「段階的」ではあるが将来的に全戸スラブ上化を目指すことができる。
設計・監理を担当した柳下雅孝・一級建築士は「スラ ブ下配管の問題で苦労している団地・マンションは全国 に数多く存在するが、その管理組合に明るい兆しと勇気 を与える事例であることを確信している」と話している。
(大規模修繕工事新聞102号)