745戸の大規模マンション工事は管理会社と専門業者のJVに発注
工事データ
○工事名/ヨコハマアイランドガーデン大規模改修工事
○建物概要/2004(平成16)年竣工・RC造・地上11階建て・8棟・745戸
○発注者/ヨコハマアイランドガーデン管理組合 ○設計・監理者/㈱T.D.S
○施工者/アール・エヌ・ゴトー/ナイスコミュニティー共同企業体
○主な工事内容
共通仮設/現場事務所、作業員詰所、資材置場、廃材置き場、工事用掲示板等
直接仮設/足場組立・解体、昇降設備、落下防止養生、侵入防止養生、安全対策、養生等
下地補修/モルタル面・タイル面(外壁・床・天井)の調査・補修・洗浄
シーリング/外壁目地、建具目地、その他(金物取合い、ALC目地)
外壁塗装/塗装面(外壁・天井・上裏ボード面)
鉄部塗装等/建具、盤・ボックス、樋・配管、その他(ドレン、隔て板、換気口、木製ベンチ、自転車ラック)
防水/屋上・ルーフバルコニー・屋根(笠木・基礎)、バルコニー・廊下(床・巾木)、庇・出窓(平場・立上り・天端)
その他工事/避難ハッチ・隔て板ステッカー貼り替え、消火器プレート交換、ELV扉化粧フィルム貼り、金物脱着、清掃
○工事期間/2016年10月~2017年11月(13カ月)
設計・監理者:一級建築士事務所 ㈱T.D.S
■本社
〒103-0012
東京都中央区日本橋堀留町一丁目6-13 昭和ビル3階
電話 03-5649-3666
代表者:岡 俊英 創業:1979年(昭和54年)6月
資本金:5,000万円
//www.tds-arc.com
【工事受注:JV方式】
アール・エヌ・ゴトー/ナイスコミュニティー共同企業体
施工者:株式会社 アール・エヌ・ゴトー
■本社
〒211-0043
川崎市中原区新城中町16-10
電話 044-777-5158
■東京支店
〒143-0016
東京都大田区大森北1-1-6 イソーラ大森ビル3F
電話 03-5753-1656
代表者:後藤 龍彦 創業:1970年(昭和45年)4月
資本金:1億円
//www.rngoto.com
施工者:ナイスコミュニティー 株式会社
■本社
〒230-0051
横浜市鶴見区鶴見中央3- 2-13
電話 045-501-5005
代表者:長谷川 昌男 創業:1974年(昭和49年)6月
資本金:1億8,000万円
//www.nicecommunity.co.jp
管理組合の運営に透明性を持たせようと、外部専門家であるマンション管理士と顧問に迎え入れたのが2010年、第7期の理事会だった。
取材当日にお話をうかがった管理組合の方々によると「理事会は輪番制。だけど住民に対する説明責任があります。その責任を担保する方法としてマンション管理士にお手伝いをしてもらうわけです」という。
大規模修繕工事は第9期の理事会が起案。第10期に修繕委員会を立ち上げ、マンション管理士にアドバイスを得ながら、どういう風に進めていったらよいのか検討していった。
「理事会は素人であること自体が武器です。わからないことを専門家に聞いて、理解していく。理解することで、理事会の口から住民に説明ができるようになるのです」
修繕委員会ではまず建物調査診断を行うため、設計コンサルタントをコンペにより選定。工事内容、費用がどのようなものになるのかを理解していった。
実際の工事は2016年の第13期から開始。745戸の大規模マンションのため、工期は13カ月で第14期の理事会にまたがったが、専門家の活用で継続性が保たれたといえる。
施工業者選定は、公募で15社が集まったが、最終的に管理会社であるナイスコミュニティー㈱と工事専門会社の㈱アール・エヌ・ゴトーによる共同企業体、いわゆる「JV」に決まった。
大規模マンションでの大規模修繕工事は長い工事期間となることにより、ソフト・ハード両面の対応を考慮。日常の建物維持管理や管理組合運営業務に携わっているナイスコミュニティー㈱、大型物件の元請実績が豊富で技術力に自信がある㈱アール・エヌ・ゴトー。管理会社と専門業者が組むことによって、生活動線を把握しているため各棟の建物の施工ポイントを踏まえた安全対策の確実な計画など、お互いの強みを生かした提案が選定理由となったようだ。
毎年恒例の夏まつりは工事期間中だったため、「YIG秋フェス」として工事完了のお祝いとともに11月に開催した。
住民からは「13カ月といってもあっという間だった」「もう工事はずっと前に終わっていたというのが実感」という声が上がっていた。
工事をしている棟(工区)としていない棟を分け、工事をしていない棟の足場は外す、保育園の送迎や小学校の登校時間等に考慮したなど、住民に負担が極力かからない仮設計画で行えたことが大きかったようだ。
最後に管理会社と専門業者が組んだことで、「これからのアフター点検も安心感がある」と歴代理事、修繕委員は肩の荷を降ろしている。
(大規模修繕工事新聞97号)
左から加藤祐二修繕委員長、大竹信之第14期理事長、松井豊己第13期理事長
管理組合からアール・エヌ・ゴトー、ナイスコミュニティーそれぞれに感謝状が贈られた
感謝状を受け取るアール・エヌ・ゴトーの面々。中央が現場代理人を務めた須貝和進氏