あすみが丘ガーデンコート給水管改修工事
機械の設置と養生
管理会社の業務として劣化診断調査を行った。対象は給水管。サンプリングにより管の中をのぞいてみると、錆こぶができている部分があることがわかった。
調査結果から検討材料となったのは、管の口径が太い共用部分ではなく、口径の細い専有部分である。
管材は塩ビライニング鋼管。築年が浅いため、漏水事故が多発するとは思えない。が、何より759戸の大世帯である。早めの手当てで長く持たせることはできないかという意見が出てきた。
漏水事故が問題になってからでは、管の交換(更新)工事の必要性が大きくなり、その場合は部屋うちの解体作業が伴う。更新施工と合わせた解体作業には長い工事日数、工費の負担増、それに伴う合意形成など、たいへんな労力が必要となる。
マンション住民には共働きの家庭も多く、在宅を求める工事には合意が難しい。
そこで、管理組合は漏水事故が大きな問題になる前に管を長く持たせようと、築16年目で専有部分の配管のみライニング更生工事を選択した。
ライニング更生工事のメリットは、更新工事よりも費用が安い、住戸内への立ち入り期間が短いとこにある。解体もしないので廃材も出さず、エコにもつながる。
そもそも専有部分の配管は、一般的なマンションよりも長い40 ~ 60m。天井配管が90%で解体工事の負担は大きいと予測できた。
そこで、ライニング更生工事を選択したのだが、中でも京浜管鉄工業の「NPBラピッド工法」。1日で作業が完了するというメリットが大きく、まさに管理組合のニーズに当てはまったといえる。
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京浜管鉄工業は平成22年8月30日、これまでの実績を踏まえてライニング更生工事の工法元となり、24年10月1日には新たな給水管更生技術である「NPBラピッド工法」について一般財団法人建築保全センターの審査証明を取得した。
施工が1日で完了し夕方には通水できる、防水塗膜は安全で水に影響を与えないなど、専有部分の更新について話し合いをしている管理組合にとって、大きな決め手となった。
「NPBラピッド工法」の特徴は3つ。
⑴工事による在宅のお願いはわずか1日
⑵管の中に均一に塗布した防錆塗膜を温風・温水のダブル加熱で完全硬化
⑶仮設工事が不要なために廃材が減少
工事データ
○工事名/あすみが丘ガーデンコート給水管改修工事 ○建物概要/ 1997(平成9)年2月竣工・RC造・11棟・4~ 15階建て・759戸 ○発注者/あすみが丘ガーデンコート管理組合 ○主な工事内容/共用仮設(工事事務所、資材置き場等の設置)/専有部分事前調査/水道メーター回り給水管保温/専有部分給水管更生(1棟2班、1日1班3戸施工)/屋外給水管補修 ○工期/平成25年8月~平成26年2月