3回目の大規模改修、初の競争入札で充実した工事ができた
新型コロナウイルスが蔓延している中、大規模修繕工事の施工について、多くのマンションでは居住者や作業員の動線に大きな配慮をしています。このため不要不急な現場取材も規制を余儀なくされています。
とはいえ、実際に現場で行われている工事の記事は読者からの関心が高く、大規模修繕工事新聞の大きな柱となっているコンテンツです。今回の管理組合修繕奮闘記は、2017年6月号に掲載した記事を再び掲載します。このマンションは2015年にも一般社団法人マンション計画修繕施工協会が主催する第5回マンションクリエイティブリフォーム賞を受賞、表彰されています(編集部より)。
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3回目の大規模改修工事。今回、はじめて見積り合わせによる競争入札を試みた。同時に、「利便性の向上により、財産価値を高める」ことを意識していたという。
工事計画は平成27年、管理会社から提案された。
1、2回目の大規模改修や設備改修も、管理会社が施工を行っている。
今回は、大規模改修工事に伴い管理組合が修繕委員会を発足。今までは、管理会社主導の下で行っていた大規模改修工事を修繕委員会主導の下で建物の調査・診断を行い、報告書を作成した。
しかし、築40年近くとなって住民が高齢化し、修繕積立金の値上げや一時金の徴収は容易ではない。一方、建物をグレードアップさせるような費用のかかる工事の必要性も感じている。
そこで、修繕委員会の報告書に基づき、共通仕様書・見積書を自分たちで作成。管理会社の言われたとおりの業者選びではなく、競争入札による業者選定をはじめて行ったのである。
平成28年4月の定期総会後、応募のあった施工会社5社に共通仕様書・見積書を配布し、7月の臨時総会で㈱カシワバラ・コーポレーションを内定した。
選定理由として、管理組合では「営業マンの反応がよく、レスポンスが早かった」ことをあげている。見積書の作成の際も、真っ先に現場に来る、質問などもてきぱきしている。こうした態度が次第に「信頼感を得られた」と理事や修繕委員らに浸透していったようだ。
こうした態度は業者選定後も変わらず、住民の生活動線と資材搬入計画の作成、住民説明会での対応など、動きの速さや丁寧な仕事で応えてくれたので安心したという。
競争入札によって費用が抑えられたメリットもあった。当初、考えていた利便性の向上についても、集合ポストや洗濯物干し金物の交換、階段室内手すり新設など、基本工事に加えることができた。
理事会役員のひとりは「管理会社お任せだった1、2回目よりは、自分たちで動いて行った工事だったので、とても充実した工事ができたと思う」と話している。
(大規模修繕工事新聞129号)
階段室前の足場は、特に落下防止を強固にした組み立てを行った
メーカーによる既存防水状況の確認
バルコニー床のズレを確認
バルコニーの手摺りを塗装(中塗り作業中)
外壁塗装(中塗り作業中)
建物立ち上がり部分は土を掘削して塗装する
PS扉部分の鉄部塗装(中塗り作業中)
階段室に手すりを新設した
住民に説明しながら、足場解体前の検査を実施
工事データ
○工事名/つきみ野ビレジDブロック大規模改修工事
○建物概要/ 1978(昭和53)年竣工・PC造・地上3階・3棟・54戸
○発注者/つきみ野ビレジDブロック管理組合
○施工者/㈱カシワバラ・コーポレーション
○主な工事内容
・ 共通仮設/現場事務所・作業員休憩所・資材倉庫・手洗い場・仮設トイレ・廃材コンテナ等の設置
・直接仮設/建物外周に鋼製の足場を設置
・ 下地補修/外壁等の調査、鉄筋爆裂補修、モルタル浮き補修、ひび割れ補修他
・シーリング/外壁のシールの新規打ち替え
・ 外壁高圧洗浄/外壁塗装面および床面の高圧水洗浄
・外壁塗装/外壁・天井他の塗り替え
・ 鉄部塗装/鉄扉、鉄骨階段、隔て板、堅樋等の塗装
・防水/屋上、バルコニー床の防水
・ その他/屋上ハッチ交換、バルコニー物干し金物交換、階数表示板交換、集合ポスト交換、掲示板交換、階段室内手すり新設、敷地内アスファルト舗装等
○工事期間/ 2017年1月24日~ 2017年5月31日
施工者:株式会社カシワバラ・コーポレーション
■本社
〒108−0075
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■西関東営業所
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代表者:柏原 伸介
創業:1949年(昭和24年)3月
資本金:2億5,010万円
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