建物の維持管理「管理組合主体」は当然 住環境、資産価値の維持・向上を目的に
横浜市の金沢シーサイドタウン地区は分譲約4,300戸、 賃貸約3,000戸の集合住宅をはじめに、公共施設、商業施 設等により開発・整備された、住環境として恵まれた地 区だ。
各自治会を中心として、お祭りや文化祭などのイベン トを実施し、住民主体で地域を盛り上げる活動が活発で もある。
こうした住民主体の地域活動とともに、マンション(建 物)の維持管理も「管理組合主体」が当たり前となって いる。
今回、並木二丁目第12住宅で行われた2回目の大規模 修繕工事の目的として管理組合は「建物外壁等の耐用年 数を延ばし、建物内外の機能改善をもって住環境の向上 と、資産価値の維持・向上を図る」ことを掲げた。
立地が海辺に近いこともあり、バルコニー手すり、格 子フェンス等、鉄部の発錆が著しく、腐食個所が多く判明。 補修方法は、修繕委員会や設計・監理者、施工者との定 例会議などで協議して、フローチャートを作成しながら、 不具合状態の改善を計った。
しかしながら、工事完成後、交換しなかった部材の内 側で残存錆が成長して露出。今後の懸案材料として対応 の検討が余儀なくされている。
1階の落下防止庇の鋼材においても、錆汁が流出して いる個所があった。雨水などの浸入が考えらえる。根本 的な補修は大掛かりな工事となるため、錆汁が出ている 個所のシーリングを撤去して、内部滞留水を排出。錆止 め処理して、再度、先端塞ぎシーリングを充填した。 その他、バルコニー手摺に衛星放送アンテナを設置し ている住戸が多く、各戸に対して取り外しを折衝する必 要があった。修繕委員会の対応により、各戸の個別負担 で工事期間中も視聴可能なように、足場へのアンテナ移 設を行ったが、新4K8K衛星放送がはじまったことによる、 個別アンテナの設置も今後の課題のひとつである。
(大規模修繕工事新聞117号)
工事データ
○工事名/金沢シーサイドタウン並木二丁目第12住 宅大規模修繕工事
○建物概要/1982年(昭和57年) 3月竣工・壁式PC造、RC造・地上3階~5階建て・ 14棟+管理棟・278戸
○発注者/金沢シーサイドタ ウン並木二丁目第12住宅管理組合
○設計・監理者/ ㈱英綜合企画設計
○施工者/建装工業㈱
○主な工事内容 ・共 通 仮 設/現場事務所、資材置場等、工事に必要 な施設を設置する。
・足 場 架 設/建物回りへの足場組み立て、飛散・落 下防止のためにメッシュシートを張る。
・下地補修(塗装面・タイル面)/躯体(建物)不具 合個所の補修を行い、建物の寿命を延 ばす。
・シーリング/外壁目地、開口部枠回り等のゴムの部 分を新しくし、水密性・気密性を確保 して漏水を防ぐ。
・外 壁 塗 装/壁面の既存塗装面に新たに塗装を行い、 耐久性を延ばす。建物コンクリートの 保護となり、意匠性が向上する。
・鉄 部 塗 装/鉄部等の既存塗装面に新たに塗装を行 い、耐久性を延ばす。鋼製部分の保護 となり、意匠性が向上する。
・防 水/建物の漏水を防止し、居住性を高める。 4・9号棟、管理棟屋根・バルコニー およびテラス床・階段室床等の防水を 行う。
・建築雑工事/隔て板破損部補修、雨樋破損部補修、 室名札更新等を行う。
○工事期間/ 2018年1月~ 2018年7月
設計・監理者:一級建築士事務所
株式会社英綜合企画設計
■本社 〒238−0004 横須賀市小川町25−5−203
☎046−825−8575 代表者:島村利彦
設立:1987年(昭和62年)
資本金:1,200万円 //www.hanabusa.e-arc.jp
施工者:建装工業株式会社
■本社 〒105−0003 東京都港区西新橋3−11−1
☎03-3433-0503 (首都圏マンションリニューアル事業部)
代表者:髙橋修身
創業:1903年(明治36年)
資本金:3億円 //www.kenso.co.jp