中華街入口で車両制限の配慮、斜壁対策はクリアウォールを採用
横浜・中華街への玄関口に立地する10階建てのマンション。 周辺はマンションが建ち並ぶ一角であるとともに、中華街の飲 食店へ生鮮食料品などを届ける卸売り業者の車両が頻繁に通行 する環境でもあった。
このため、仮設足場の設置や建築資材の搬入時は車両を通行 止めにするなど、車両制限等の配慮を行うことになった。
また土地柄、住民は賃借人の中国人も多く、中国語による工 事のお知らせチラシを随時作成。洗濯物干し情報やバルコニー 外壁の高圧水洗浄の実施等、住民への協力を仰いだ。
建物として特徴的なのは、斜壁への対応。斜壁は、建設時の 立地状況から通風、採光等を確保するため、建築基準法の斜線 制限に沿って設計される。
ところが一般の外壁と違って、斜めになっている分だけたく さん雨を受けることになる。当マンションでは側面の外壁と同 じタイル仕上げの斜壁のため、この部分からコンクリートへ雨 水が浸入し、躯体内の鉄筋のサビによるコンクリートの中性化、 タイルの浮き、剥離などの可能性が大きくなるわけだ。
この対策に用いたのがトップコート材の東亞合成㈱が開発し た「アロンクリアウォール」。タイル面の上から透明で柔軟性 のある塗膜を形成することで、タイルや目地モルタルを保護し、 雨水浸入を防ぐ。
(大規模修繕工事新聞107号)
ルーフバルコニー、バルコニー にはウレタン防水を施工。液体状 のウレタン樹脂を複数回塗ること で防水層を形成し、雨水の浸入を 防ぐ。
大規模修繕工事の大きな目的 は、躯体コンクリートに雨水の影 響を与えないこと。基本的なこと に重点をおけば、建物の経年劣化 の進捗も遅くなるといえる。
管理組合理事長談:
管理組合としては、良い工事会社にお会いできたと喜んでい ます。
設計・監理者は専門家の立場から、無理な出費をかけず、建 物の安全性と耐久性等を考慮に入れた施工を行ってもらうた め、管理組合と施工者との良いパイプ役を担ってくださいました。
こうした「管理組合の意向」を正しく受け取って、実際にそ れを具体化し、安心させてくれたのが現場代理人の役割でした。
問題が生じた際、その対応に十分に考慮された解決策の選択 肢を提案してくれました。このため、工事に素人の私たち理事 も、行動の方向が分かり、協力しやすかったことを思い出します。
私は、技術的な称賛もそうですが、「人的な側面」としても、 監理者、施工者の「一期一会」型の接客姿勢の方針に関して、 称賛したいと思っております。
今後のアフターケアなども、よろしくお願いします。
アロンクリアウォールの特徴
〇意匠性:タイル特有の意匠性を損なうことなく、鮮明 で重厚な仕上り感が得られる。艶消しタイプ の上塗材(特殊アクリルシリコン)は低汚染 性を発揮する。
〇防水性:ひび割れ部への浸透性に優れた柔軟な透明塗 膜で雨水の浸入を防止することで、エフロレッ センス(白華現象)の流出防止やタイルの剥 落を予防する。
〇耐候性:下地水分の影響による白濁がなく、黄変しに くい塗膜である。
〇作業性:塗装工程が少なく、経済的な工法である。
〇高品質:全国アロンコート®・アロンウオール®防水工 事業協同組合員による施工で資産価値の維持・ 向上に努める。
工事データ
○工事名/エトワール山下大規模修繕工事
○建物概要/ 1988(昭和63)年竣工・SRC造・地上10階建て・1棟・ 71戸
○発注者/エトワール山下管理組合
○設計・監理 者/㈱T.D.S
○施工者/㈱アール・エヌ・ゴトー
○主な工事内容
①共 通 仮 設/仮設物設置(廃材置き場、仮設シンク、仮 設電気、工事用掲示板等)
②直 接 仮 設/足場組立・解体、昇降設備、落下防止養生、 侵入防止養生、安全対策、養生等
③モルタル面下地補修/塗装面(モルタル面)、調査・補修・洗浄
④タイル面下地補修/タイル面、調査・補修
⑤シーリング/外壁目地、建具回り目地、ガラリ回り、屋 上配管回り、避難ハッチ回り、ドレン貫通 部回り
⑥外 壁 塗 装/既存塗装面(壁・天井)・外壁・バルコニー・ 開放廊下
⑦鉄部塗装等/鋼製建具扉枠、樋、配管、ドレン、隔て板、 消防用補助水槽、消火栓ボックス、機械式 駐車場パレット、店舗室外機置場等
⑧防水/ルーフバルコニー、 バルコニー、出窓天端、 小庇天端等
⑨その他/各所清掃、避難ハッチステッカー貼り替え、 隔て板ステッカー貼り替え、面格子脱着、 消火栓ボックス下部笠木モルタル補修等
⑩追 加 工 事/ルーフバルコニー、 バルコニー巾木漏水対 策工事
○工事期間/ 2018年4月~ 2018年8月
設計・監理者:一級建築士事務所 ㈱T.D.S
■本社 〒103−0012 東京都中央区日本橋堀留町一丁目6−13 昭和ビル3階
03−5649−3666 代表者:岡 俊英
創業:1979年(昭和54年)6月
資本金:5,000万円
//www.tds-arc.com
施工者:株式会社アール・エヌ・ゴトー
■本社 〒211−0043川崎市中原区新城中町16−10
044−777−5158
■東京支店 〒143−0016 東京都大田区大森北1−1−6イソーラ大森ビル3F
03−5753−1656 代表者:後藤 龍彦
創業:1970年(昭和45年)4月
資本金:1億円
//www.rngoto.com
①タイルの浮き部分をマーキング
①タイルの浮き部分をマーキング
③タイル付着前にモルタルを塗布
④トップコート材のクリアウォールを塗布
⑤斜壁タイル面工事完了
マンションは横浜・中華街に立地する
ルーフバルコニーにてウレタン防水施工の様子
中国語による工事のお知らせ
ルーフバルコニーにてウレタン防水施工の様子