築40年、全戸玄関扉交換工事を実施
管理組合主体かどうか、事前確認も必要
工事データ
○工事名/第一鷺沼グリーンヒル大規模修繕工事
○建物概要/1977(昭和52)年竣工・RC造・地上7階・1棟・52戸
○発注者/第一鷺沼グリーンヒル管理組合 ○施工者/(株)ラクシー
○主な工事内容
・共通仮設/現場事務所兼詰所、各所養生等
・直接仮設/足場設置、飛散防止ネット設置等
・下地補修/下地ひび割れ、鉄筋爆裂、欠損補修等
・外壁塗装/外壁、バルコニー、廊下、階段の手すり壁、天井等
・鉄部塗装/各種鉄扉、PS扉、各扉、鉄製品等
・バルコニー防水/ウレタン
・床タイル/既製品タイル張り替え、タイル洗浄等
・シーリング/外壁打継目地、建具まわり、サッシまわり等
・外壁洗浄/高圧水洗浄
・長尺シート張り/開放廊下
・建築他工事/駐車場床塗装、駐車場区画線引き等
・玄関扉交換/各戸玄関扉、住戸室名札交換等
○工事期間/2017年5月8日~2017年9月9日
築40年、3回目の大規模修繕工事となると、建物の下地や外壁、鉄部の補修といった一般的な修繕のほかに、玄関扉や窓サッシの交換、エントランスまわりの改修等がグレードアップ工事の対象になる。
今回、第一鷺沼グリーンヒル管理組合では玄関扉交換を大規模修繕工事に組み込んだ
各戸の玄関扉は共用部分と解釈できるが、マンション標準管理規約第7条2項二号で「玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする」と記載されている。
このため、1、2回目の大規模修繕工事では玄関扉の修繕について、扉外側の塗装の塗り替えや化粧シートの接着張りなどで改装するケースが多い。
とはいえ、劣化具合が進んでいる場合や、性能向上の要望が高いなど、特に高経年マンションでは扉交換を実施するケースが増えている。
近年の玄関扉は気密性、遮音性、断熱性、防犯性のほか、レバーハンドルのバリアフリー性能など、商品性能がグレードアップされている。
さらに今回、施工会社には窓や玄関扉の更新を得意とする㈱ラクシーを選定。見積もり競争による価格の調整、工事部位の優先順位などにより、全体工事費用に余裕を持たせることができたため、玄関扉交換の提案が実施可能となった。
工法は既存の枠に新たな枠をかぶせた上で扉も交換する「かぶせ工法」を採用。大きな騒音、振動、粉塵の発生も少なく、約1時間半~2時間で施工が完了するため、採用が一般化しているようだ。
ただ施工においては在宅していてもらう必要がある。基本的には建物の高経年とともに住民の年齢層も高いため、在宅率が高く、現場代理人によると「トラブルはまったくなかった」という。
このほか、玄関扉の外側・内側、外壁、天井、廊下床、バルコニー床の色を決める際にも、理事会4人プラス修繕委員3人が中心となり、何度か住民アンケートをとりながら、合意形成に至った。
高経年マンションでの3回目、4回目の工事は、今後も玄関扉やサッシの交換工事が増加すると思われる。共用部分として管理組合主体で修繕にあたるかどうか、各区分所有者に対し、事前の確認や調整、合意が必要となるといえよう。
(大規模修繕工事新聞94号)