山手通り、首都高沿道の高級マンション 排気ガスと振動の影響が第一課題

キャニオングランデ代々木公園大規模修繕工

代々木公園も徒歩圏内。都心に住まいながら緑も感じられる高級住宅街。ただし、山手通りの沿道ということもあり、排気ガスによる外壁や天井面の汚れが目立っていた。また、山手通りの地下を走る、首都高速道路建設工事による振動の影響からか、タイルの浮き・ひび割れが通常マンションより多く、3万枚のタイルを用意した。
こうした幹線道路・首都高沿道ということが大規模修繕工事に取り組む際の第一課題。次いで渋谷・富ヶ谷と
いう高級住宅街の立地条件から、外観の意匠性も重視された。

外壁には薬品洗浄を行い、共用廊下の長尺シートを貼り替え、共用階段・バルコニーの長尺シートを新設した。
エレベーター扉・内壁のダイノックシート張りも追加工事で行った。ダイノックシートとは硬化化粧フィルムのこと。耐候性や耐久性があるだけでなく、重厚感、高級感のある素材でもある。
機能改善という点では、11Fルーフバルコニー点検扉が錆びていたのでカバー工法で扉を交換。雨どいの継ぎ目から漏水があったので自在ジョイント(接合する角度が自由に変化する継手)を取り付けた。
また、1階の階段の踊り場に雨が吹き込み、地下に流れていたので排水溝とステンレス蓋を設置したり、バル
コニー手摺壁にひび割れが多いため耐震スリットを設置するなど、施工中の現場対応による細かな提案を管理組合に行い、実施している。
1回目の大規模修繕工事とあって、基本的には外壁補修、鉄部塗装、防水改修など、一般的なもので、工事計画を立てるが、実際に足場を組むことによって、想定以外の改善工事を施すケースが多々あるものだ。
また、施工会社にとって苦労したのは、足場設置時に職人の確保が難しかった点。最終的に予定工期に間に合ったが、近年の職人不足を実感したという。
消費税増税前の駆け込み工事や公共事業増加の影響で職人不足は顕著になっている。
今後は平成27年10月の消費税10%も強行される可能性が高いことから、来年3月の契約ラッシュが多少なりと予測される。

大規模修繕工事の計画は時間的な余裕を持って、早めに準備していくことが工事をスムーズに進め、工事金額も適正額を求めることができると考えられよう。

工事データ

グランデ代々木公園大規模修繕工事 ○発注者/キャニオングランデ代々木公園管理組合 

・共通仮設/ 現場事務所、資材置き場、仮設電気・給排水設備、ガードマンの配置等
・直接仮設/外部足場、飛散防止養生等
・下地補修/ タイル面の洗浄・浮き処理・張替え、不良目地補修、塗装面のひび割れ・爆裂補修、モルタル浮き処理等
・シーリング /サッシ回り・鋼製建具回り・ステンレス製建具回り、打継目地等のシーリングの撤去・更新
・外壁塗装/廊下、バルコニー、階段等
・鉄部塗装/ 屋内消火栓用補助水槽、玄関枠、メーターボックス枠・扉、エレベーター機械室扉、バルコニー隔て板等
・防  水/ 屋上搭屋、屋上展望テラス、各戸バルコニー防水、エアコン室外機置場、共用廊下、階段室床等
・そ の 他/ 共用廊下の長尺シート張替え、共用階段・バルコニーの長尺シート新設、エレベーター扉・内壁のダイノックシート張り等
○工期/平成25年9月2日~平成26年1月31日(5カ月)